遠征ブルべ
ブロンプトンは世界で最もブルべに向いた折り畳み自転車だ
前日、ほんの数時間前まで札幌駅にいて、特急に乗り、帯広までやってきました。
帯広は霧雨で路面が濡れていましたが、標準で優秀な泥除けのついているブロンプトンには問題のないことでした。
この自転車は世界で最もブルベに向いた折りたたみ自転車だと思いました。
足りないとすれば、私の技能と気力でしょうか。
この借り物の相棒を預けてくださったOさんはそれらを備え、宗谷600を走りきったのだ、私も続くぞと意気込みました。
トカプチ朝駆400の開始地点、道の駅おとふけまでは寝静まった住宅街と郊外の田園風景を抜けていきます。
もっとも深夜帯で交通量の少ない街路は真っ暗で、小さなライトで前を照らしながら進みました。
道の駅おとふけにてFさんにお会いする
現地につくと、車中泊が多い駐車場のトイレで受付が始まってました。続々と速そうな自転車が集まってきます。
今回の運営を担当されているFさんに挨拶しました。昨年のそらちグルメフォンドの参加権を譲渡したり、薄野200で、一緒に走ったりしたことがあります。
「多分ブロンプトンは一人だけだけど、頑張ってね」
受付をしながらそう声をかけてもらいました。
「最近、ブロンプトンで出るの流行ってるの?」「すごいね」
と受付を済ませブリーフィングを待っている間にも何人もの参加者から声をかけられました。
ブロンプトンはやはり1台
参加者の一人はOHさんで、先の宗谷600ではブロンプトンで走りきった方の一人でした。美瑛スノーサイクルフェスティバルやBBC北海道で、たびたび一緒になっている方でした。
「今日は私はブロンプトンじゃないんだよね。頑張ってね」
やはり声をかけてもらえるというのはうれしいものです。
周囲の参加者を見ると、やはりロードバイクやグラベルばかりで、ブロンプトンはおろかリカンベントやミニベロもいないという状況でした。
これまではなんだかんだと他にもいたりしたので、少し緊張感を感じながらブリーフィングを終えて、スタートしていきました。
午前3時のスタート~通過チェックA(然別湖湖畔)
牧場の朝の風景を征く
暗闇の中スタートして、うっすらと濡れない程度の霧雨が続きます。それでも30分も走れば夜が白み始めました。
視界はおおむね200m、真っ白でおぼろげな、牧場の朝です。周囲は畑と牧草地が続く、まさに童謡の世界でした。
平地ではロードバイクに次々と抜かれながら鹿追コンビニで補給を行いました。この先、食べ物が手に入るのは三国峠のカフェ、そしてPC1くらいなので補給をする人は多かったです。
ゆっくりでも登れている!
鹿追を離れると、最初の本格的な登りとなりました。
通過チェックの然別湖畔の前に白樺峠がありました。M6Rで挑む初めての峠です。
ギアを1速に入れ、ゆるゆると回して登っていきます。
明らかにPちゃんよりも登れているという実感がありました。
途中から追いついてきたロードバイクの方と談笑しながら白樺峠の辺りまで一緒に走ったのが良い思い出です。
峠を下るとそれまでの雲が嘘のように晴れ、陽が差してきました。爽快な気持ちで通過チェック1に到着し、クイズの答えを写真で残しておきました。
ここはトイレもあったので、持ってきたおにぎりを食べて大休止となりました。
ワイドギアの本領を見た~通過チェックB(三国峠展望台)
三国の夢~国鉄士幌線沿線を走る
然別湖から先も、もう一度峠を越えてからは糠平まではほとんど下りでした。
晴れていますが暑すぎず、気持ちの良い天気の中、ゆったりとした登りが始まるのを感じていました。
かつてここには国鉄士幌線が通り、十勝三股駅、三国峠を越えて道央と連絡する計画がありました。
しかし地形的な制約により連絡の夢破れ、産業構造の変化や沿線人口の減少により、廃線に相成ったと聞いています。
ダム湖に残る有名な橋「タウシュベツ川橋梁」も士幌線の遺構です。
以前から興味のあった士幌線の沿線を多く走るこのブルベに参加することは楽しみにしていました。
実際、登りながら幾つかの巨大なコンクリートの橋梁が今もなお残っているのを拝見し、興奮していました。
トップとの差は40km!
登り始めてしばらくすると、ものすごいスピードでロードバイクが下ってきます。どうもブルベの参加者のようです。
糠平から三国峠までは往復コースなので参加者同士がすれ違います。私は三国峠まで20km程ありますから、先頭とは約40kmの差があるということになります。
その時の私には「40kmしか」離れていないと捉えていました。
ヒルクライムというのは機材の差が出にくく、自力の差が明確に出ます。
私は彼らについていけている、自信をもって長い坂を登っていきました。
通過チェックを終えた参加者たちが次々と下ってきます。炭鉄港のときもそうでしたが、お互いに手を降りながら応援するのが非常に楽しいです。
三国峠展望台手前ですれ違った方には「めちゃくちゃ速いね!」と驚かれたのが印象的でした。
頂へ!
他の参加者とすれ違いを楽しみながら、ついに通過チェック2「三国峠」に到着しました。
このブルベで最も高い場所に到着したことになります。まさに正念場を越えたと感じていました。
朝の濃霧が嘘のように消え、登ってきた体は心地よい暑さを感じていました。
観光客に人気のブロンプトン
丁度、展望台のカフェが運営を始めていたので、せっかくなのでソフトクリームを食べることにしました。
店主に聞くと、冬は寒すぎて店を締めているということでした。確かに登ってくる途中も凍結由来の路面のヒビが多く、厳しい環境を感じさせました。
ブロンプトンの近くで休憩していると数組の観光客に話しかけられました。
「今日はどこまで行くの?」
「大体の人がああいう(後から登ってきたロードバイクを指して)のだけど、大変じゃないの?」
観光客の皆様も、今日はたくさん自転車が走っていて、同じ目標で走っていると理解はできるが、折りたたみ小径車で走っているのが信じられない様子でした。
反応が面白く、会話を楽しんでいたので結局三国峠では1時間弱滞在してしまいました。
十勝平野、快走~PC1(セブン・イレブン上士幌店)~通過チェック3(中士幌神社)
Top Gear
三国峠からの下りは快適そのものでした。
3速+のギアを踏めば速度は50km/hに迫り、その速度に他の車が驚いているのがよく分かりました。
ヒルクライムから高速巡航までこなせるギア比に感謝です。
虫との衝突事故
その下りの最後あたりで、事故が起きました。
トンボが多く飛んでいたため、何度か衝突してはいたのですが、ついに顔面に直撃してしまったのです。
思わずふらつき左のペダルが縁石に触れ激しく擦れました。
なんとか落車せず停車することができましたが「傷ものにしてしまった」とショックは大きかったです。
「もうこの子をうちの子にするしか無い」と考えながら再び走り始めました。
PC1でFさんと再会
坂道を下りきってすぐにセブン・イレブン上士幌町店に到着しました。鹿追町のコンビニによってから実に100kmぶりくらいのコンビニです。
ここでは運営のFさんと再開しました。参加者と一緒に三国峠は登ったようですが、ここから先は運営に徹するようでした。
ブロンプトンの調子を尋ねられたので「6速のブロンプトンがこんなに走るとは思わなかったです」と伝えました。
4速のPラインで行き詰っていたラインをいとも軽々と超えていたのは事実で、機械的信頼も含めるとCラインの方がブルベに向いているとも感じていました。
先週とは異なり食欲が十分あり、おにぎりを2個食べ、もう2個を携行して出発しました。
北海道のコンビニアルアルなのですが、ここはゴミを捨てることができません。しかし、Fさんの車にはゴミ箱が用意してあり、捨てさせてもらえました。ありがたいですね。
走りやすい平野を快走
上士幌町からは平地になりました。広大な十勝平野を感じながら快速にブロンプトンは走っていきます。
今回のブルベコースの大半は、ナショナルサイクリングコース「トカプチ400」をなぞりますが、魅力的なコースだと感じます。
あっという間に中士幌神社に到着しました。通過チェックになっていますので写真を撮影しつつ、おにぎりをつまんで休憩しました。
あと30kmほどでPC2ですが全然疲れてなく、これは行けるのではないかと感じ始めていました。
インディアンカレー、おいしい!~PC2(道の駅おとふけ)
貯金しながらPC2着
その後も特に問題なく走り続け、道の駅おとふけに戻ってきました。距離にして199,7km、時間にして12時間30分程です。
丁度折り返し地点ですが1時間ほどの貯金がある計算になります。今までのブルベで一番余裕をもって走れていました。
ここは有人チェックポイントなので、Fさんと再びお会いしました。
「すごく元気そうで何よりです」
「こんなにCラインが走るとは思ってもませんでした。このまま400走りきります!」
完全に勢いに乗っていました。
ブルベ中に食べるカレーのおいしさよ!
1時間も余裕があり、せっかく道の駅にいるのだからしっかりとした食事を取りたいと話していると、インディアンカレーがあるとFさんから教えていただきました。
もともとブルベが終わってから食べて帰ろうと考えていたので、迷わず食べに向かいました。
インディアンカレーはこれまでに数回食べたことはありますが、この日食べたカレーが一番美味しかったです。
これまで、ブルベ中はコンビニ飯以外の食事はほとんどとる余裕がありませんでした。
他の方が様々なグルメを楽しんどいるのが羨ましいと感じていたので、やっと叶えられたと感じました。
結果として40分ほど道の駅おとふけにはいたような気がしますが、食事をして気力も体力も回復し、爽快に再び走り始めました。
そしてこの後、ブルベで一夜を越すという初めての経験をするのです。
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