借り物の相棒と挑む400kmブルべ~2024BRM727北海道400トカプチ朝駆400①

ブルべ

Pちゃんの入院記録

 2024年7月21日、翌々週に迫ったニセコHANAZONOヒルクライムに向けて練習に向かおうとしたときに、ヒルクライムでも使おうとしていたBROMPTON P Lineに重大な異変に気付きました。

 変速が正しく動作せず、チェーンが暴れるような動作をするのです。

 これまでも多少チェーンが当たるような音がすることはあったのですが、ワイヤーの張りの調整で問題なく動いていました。

 今回については調整だけでどうしようもなく、これは手に負えないということで南風自転車に持っていくことになったのでした。

ディレイラーの変速不良はガイドプーリー

 翌7月22日に店舗に持って行ってみてもらうと、流石はブロンプトンを乗り続けている方ですので、すぐに一つの可能性を提示されました。

 それはガイドプーリーの摩耗です。

 自転車の外装変速は、構造上チェーンを強制的に脱線させて隣のギアへと移動させています。そのきっかけとなるのがガイドプーリーです。

 ブロンプトンの変速機の構造は、従来のCラインの2速の変速機構とほぼ変わらず、チェーンの張りを保つテンションプーリーこそ横にスライドするものの、ガイドプーリーの可動域については4速の割に小さいものです。

 そのため、ガイドプーリーの間隔は、インナーの大径ギアと比してアウターの小径ギアの間隔は広くなります。

 ガイドプーリーの歯が残っているときは変速に支障がないのですが、私のPちゃんは摩耗が進み、感覚が広い3,4速側で特にチェーンをギアの上に維持できない状態が発生していたのです。

 心当たりは山ほどあります。雨の中、山の中、ありとあらゆる環境に私のPちゃんは連れていかれ、時として長期間の出張に付き合い、当然その間も十分に清掃される設備と時間がなかったのです。

 ブロンプトンの堅牢さを過信し、乗り続けた結果、同時期のPラインの中では本邦最上位クラスの消耗を経験しているのです。

日本支社に問い合わせるも芳しくない反応

 南風自転車経由で、ブロンプトンジャパン、そして英国本社に伝えてもらったのですが、どうも反応が好ましくない様子でした。

 現状のブロンプトンジャパンが示している部品表にはガイドプーリーがなく、それどころかディレイラー全体も部品として供給される体制ではないことが予想されていました。

 もしかしたら違う部品が届くかも、と伝えられましたが、一方で腹案があるようなのでしばらく預けることにしました。

テンションプーリーが届いた

 数日後、連絡を受けましたが、結果は悪い方の予想通りでした。

 部品表に入っているテンションプーリーが本国から送られてきたとのことでした。

 Pラインという新しいモデルが出てから約2年、代理店契約もミズタニ自転車さんから変わり、まだまだこれからこのモデルを育てていかないといけないという現状が見える事件でした。

中古105プーリーで応急処置

 これが予想されていたので、腹案を実施することにしました。南風自転車で中古で保管していた比較的状態の良いテンションプーリーを入れて様子を見るとのことです。

 これはかなり成功し、不調が8割減という感じでした。ギアをインナーに落とす際にうまくいかないことがままあるという状況まで改善しました。

 この結果を経て、テンションプーリーをシマノ製の状態の良いものに交換し対応することにしました。

新品11Tプーリーで不調解消

 トカプチ400後、13Tと11Tの二つのプーリーセットを注文し、お店で試していただきました。

 私のギアは最大21の歯組が入っており、13Tでは干渉してしまいました。純正の最大は18Tなので、それであれば使うことができたかもしれません。

 次に試したのは11Tです。これは干渉せず変速を大きく改善し、ほとんど違和感ないものになりました。

11Tプーリーセットのうち残ったテンションプーリー

借り物の相棒

 さて、上記の通りPちゃんは復旧したわけですが、それは7月27日の400㎞ブルべ「トカプチ朝駆」の跡のことになります。

居合わせたOさんからの提案

 7月22日にディレイラー不調で南風自転車を訪問していた際、たまたまOさんがいらっしゃいました。

 Oさんはブロンプトンを複数台持っているフリークでもあり、昨年から同じようにブルべを始め、今年はSR(シュペール・ランドヌール)を取得している同志です。Pラインの不調についても、私と同じように違和感を感じることはあったということでした。

「トカプチ400はどうするんですか?」

「Paratrooper(折畳MTB)で出ようかなと考えています」

「だったら家にあるブロンプトン貸しましょうか?」

 そのようなやり取りで、割とすぐに自身の普段あまり使っていないM6L(Mハンドル・6段変速・ラックなし)をお借りするお話が進みました。

「絶対にブロンプトンで走ったほうがいいですからね」

 Oさんの笑顔が印象的でした。

 ブロンプトンは1サイズしかありませんし、お借りしたMハンドルは私も普段から使っているので、サドルを入れ替えて必要な部品を取り付けるだけで、完成します。

 帰り道もいつもの通りの違和感ない乗り心地に、これならいけるかも、と感じ始めていました。

7月26日、札幌駅にて。出発直前の様子

借り物の相棒~Brompton M6L

 お借りしたブロンプトンはCラインの6段変速モデルでした。

 Pラインと異なりすべてが鉄製、重量にして2kg近く重い車両になります。小金湯まで試走してみると、そのワイドギアに驚きます。

 私のPラインもギアを差し替えて比較的ワイドにしていましたが、その上下に1枚ずつ追加されているイメージでしょうか。重量の軽さよりも変速段の多さのほうが私には有利に働いているようでした。

帯広駅到着し宿に向かう。霧雨、ブロンプトンの得意な天気だ。

短く長い400㎞の旅路が始まる

 2024年7月26日、仕事が終わると同時に私は札幌駅に急ぎました。特急とかち号で帯広へ急行するためです。

 ラックなしのブロンプトンはほぼ転がすことができませんので、駅構内での移動はちょっと大変でした。それでも乗り込んでしまえばいつも通りです。

 普段は電車の中ではあまり眠らないのですが、到着してから数時間後にはブルベが始まってしまうので新夕張を過ぎたあたりからひと眠りして、21時21分、帯広駅に到着しました。

 開始前に少しでも仮眠するため、DNF(途中リタイア)した場合に休養するため、自転車で数分のドミトリーを2泊予約していたので向かいました。

「深夜に外出して…」「28日の朝6時ごろ帰ってくるんですけど」

 到着して、そう説明すると、受付の男性の表情が曇りました。どうもここにはランドヌは宿泊していないようでまだ理解されていないようでした。

 最低限の荷物を整理して、布団に横になります。寝つきは悪かったですが1時間半ほど眠ることができました。

 7月27日1時。宿を出て出発地点の「道の駅おとふけ」へ向かいます。

 数日前に借りたブロンプトンでいつも通りの輪行をしてここまで来ました。結果がどう転ぼうと、きっと今回限りの相棒です。

 そして200㎞以上のブルべを走り切れていない私にとっては、果てしなく感じられれる400㎞の未踏の旅路が始まったのでした。

深夜1時、まだ飲み屋帰りの人がいた

コメント

タイトルとURLをコピーしました