年越し宗谷とは
北海道宗谷岬で大晦日・元旦を過ごすこと
そもそも年越し宗谷がどのようなものなのかというと、宗谷岬で大晦日・元旦を過ごすことです。時期的に真冬です。西風が強く気温も低い気候で、降雪も普通にある中で過ごすわけですから、とてつもなくエクストリームな慣習です。
私自身は数年前に知人のつてで参加している人の話を聴いて興味を持っていました。
そして、札幌市内で冬期も日常的に自転車に乗り続けたこと、ブルべを走り切ったことで自信をつけ宗谷岬まで自転車で走ってみることにしました。
稚内市の「初日の出inてっぺん」というイベントになっている
現在では「初日の出inてっぺん」という名前で稚内市がイベント化し、花火を打ち上げたり記念品を配っています。1988年からとのことですが、それ以前から人が集まっていたから稚内市が目を付けたというのは想像に難くありません。
交通手段と日程
自動車、バイク、自転車…徒歩!?
当日は稚内駅からのシャトルバスが出るのですが、それを選ばない人は多いです。北国の厳しい冬を楽しむために、様々な交通手段で来る人達がいます。
自動車はもとより、原付をはじめとするバイクは100台を超えます。特殊な例だとトゥクトゥクやウラルといった3輪バイク、電動小型モビリティ・マイクロカー等でしょうか。
一番驚いたのは、徒歩で、1日40㎞ずつ歩いて1週間ほどかけてきている人がいたことです。
そして自転車は20台ほどでした。
人数にすると総勢1700人余りが2024年の元旦を宗谷岬で過ごしたそうです。
私は自転車(ファットバイク)を選んだ
私は最初から自転車で行くことを決めていました。その時、私が保有している自転車のうち雪上を走れるのはKHSのファットバイクATB-1000しかありませんでした。
ファットバイクというのはタイヤが3,5インチ以上の太さを持つ自転車のことです。SURLYという会社のPUGSLEYを祖として、岩肌、浅い河川、砂地そして雪道を走るポテンシャルを持っている今でもコアな層に人気な自転車です。
ファットタイヤは通常の自転車のタイヤの数倍の空気量があり、その調整で接地面積を調整できる範囲が大きいです。路面がぬれているのか、乾いているのか、荷物の量は、積雪の深さは、そういった要素に合わせて空気圧を調整してやることで快適に走る能力を持っています。
加えて、45NRTHのDillinger4というスパイクタイヤが加われば鬼に金棒です。凍結・圧雪面でのグリップ力が増し、幅広タイヤも相まって安全に走ることのできる選択肢の一つになります。
結果から述べると、ファットバイクを選択したことはMTBやグラベルロードと比しても正解でした。
日程と宿泊
次に、日程ついて書いていこうと思います。私は以下のような計画で行いました。
- 12月26日(1日目)走行区間:札幌~滝川(90,2km) ホテル泊
- 12月27日(2日目)走行区間:滝川~旭川(48.9km) ホテル泊
- 12月28日(3日目)走行区間:旭川~名寄(81.5km) ゲストハウス泊
- 12月29日(4日目)走行区間:名寄~問寒別(95.8km) ゲストハウス泊
- 12月30日(5日目)走行区間:問寒別~豊富温泉(36.5km) ホテル泊
- 12月31日(6日目)走行区間:豊富温泉~宗谷岬(69.3km) テント泊
計画総走行距離は400㎞を越える長距離ツーリングです。オロロンライン経由のほうが距離的には短くなるのですが、いつでも輪行できるよう宗谷本線沿いの内陸ルートを選びました。
普段の走行の感じから、自分の体力的に最大で1日100km程度、安全策として80㎞にとどめておくことが必要と考えて泊地を決めています。宿の都合で一部変更になったので4日目あたりの走行距離が伸びています。
南区での雪中キャンプの経験から、冬の野宿の大変さを知っていたので最終日まで宿泊にすることを決めていました。
服装と装備
次に服装について書いていこうと思います。
大前提として他の乗り物系交通手段と違って「人力で動力を得る」ので、移動中の人間は非常に発熱して暑い場面のほうが多いということです。一方で、停止中は運動量が極端に減るので、重ね着をしないと耐えることはできません。
ベースレイヤーにワークマンサイクルパンツを着用し、レインウェアを重ねた
結果から言うと、今年の宗谷岬の行程は、最高気温0度、最低気温-9度くらいだったので寒くて震える場面は少なかったです。最終日の宗谷岬での疲労した状態での設営以外は同じ装いでできました。
ベースレイヤーはmontbellのジオラインまたはワークマンのメリノウールを上下に着ていました。勿論ジオラインのほうが高価で実際汗冷えも少ないのですが、ワークマンのメリノウールも価格の割には十分に機能をこなしていました。
ベースレイヤーだけだと、途中でアウターを脱いだりするときに問題があったり、ポケットが全くないので、ワークマンのサイクルミドルパンツ(現在販売終了)を装着していました。
アウターにはmontbellのサイクルレインジャケット、サイクルレインパンツを装備していました。降雪が服につくとどうしても濡れの原因になり体温を奪います。同時に、ウインドブレーカーの役割も兼ねています。
手袋と靴選びは重要
自転車に乗る場合、最も車体と触れる場所はサドルのほかにハンドルとペダルになります。そのため手袋と靴選びは非常に重要です。体幹が熱い状態でも、すぐに冷えてしまう箇所だからです。気を抜いていると凍傷になります。
手袋は45NRTHのSTURMFIST 3 FINGER GLOVE SLATEを用い、下にワークマンの指ぬきのサイクリング手袋を装着していました。細かい作業等が必要になったときに絶対に指ぬき手袋が必要になるので、重ねて着用していることが多かったです。短時間であれば指ぬきでも寒さに耐えることができます。
靴も45NRTHのWOLVHAMMER 2で最後まで問題なく走り切ることができました。自転車のペダルの上で足がうっ血するのはいつものことでしたのでしたのでおいておくとして、歩いているときに寒いと感じることはありませんでした。
携行品
つぎに、どのような荷物を持っていったのかについて書いていきます。
宗谷岬で12/31-1/1を過ごしますから一般にはテント泊になると思います(過去には防寒コートを上半身だけかぶって年越しした猛者もいましたが)。
そこに至るまでに何泊するのか、野宿なのか、宿に泊まるのか、途中で洗濯や物乾ができるのか、等々で持っていくものについてはだいぶ変わると思います。
私については、基本的には宿を取り、12/31に宗谷岬でだけテント泊を行いました。
着替えと野営に必要なものを選ぶ
私の場合は
- ライド中の着用セット×2
- 宿等で着用する私服セット
- 宗谷岬での野宿に必要な諸々
- バッテリー・充電器関係
- 食糧
で構成されています。
パッキング
パッキングにはダイソーで売っている圧縮バッグを多用しました。330円から550円まで小中大とあり、圧縮の仕方もジッパーを閉めながら押し込んでいくだけという優れた商品です。
サイドバッグ1(宿や宗谷岬まで使わないもの)
このサイドバッグ1は最終日以外は宿以外で開ける必要が無いように作りました。
- 宿で着たり食事に行くときに着る服
- 銀シート(Araiテントの一番小さいもの)
- エアマット(mont-bell )
サイドバッグ2(着替え・宿営時に使うもの)
リュックサック(すぐに取り出したいものと食糧)
リュックサックはリアキャリアの上にゴムバンドで固定していました。
- モバイルバッテリ
- 行動食・食事
- ハクキンカイロ(凍結防止)
最後に:装備は人それぞれ
残念ながら装備に正解はありません。人それぞれに感じる温度と快適さが異なるからです。
しかしながら基本的には、汗をかかない、汗が蒸発しやすいようにする、運動時と静止時で服を変える等で対応できると思います。
この記事があとに続く人たちの参考になれば幸いです。
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