流氷を見に斜里へ行く
北海道に住んで2年、まだ見ぬ流氷
北海道に住み始めてもうすぐ2年になりますが、流氷をまだ見たことがありません。流氷がやってくる1月下旬から3月にかけては冬本番で、気候が安定せず各種交通機関が麻痺するリスクがあり、仕事も忙しいのでなかなか行けないものでした。
今年は2月10日から12日の3連休で宿を取り、流氷の動向を見ていましたが、ちょうど斜里町に到着して2週間ほどが経過し、気候も安定していそうな良い時期で決行を決めました。
道東は雪が少ないから折りたたみMTBで行けるのではないか
冬の旅行は去年まであまり進みませんでした。自転車のない旅行に飽きてしまい、そして冬に満足に走れる自転車はファットバイクしか持ち合わせていなかったからです。
しかし今年は折りたたみMTB、Montague Paratrooperがあります。24インチのふたつ折り折りたたみ自転車のサイズになりつつも、スパイクタイヤとワイドリムを装備し、ある程度の氷雪面を走ることができます。
さっぽに比べると半分くらいの降雪しか無い道東・オホーツクにおいて十分に使うことができるのではないか。半ば確信をもってパラトルーパーを選びました。
SL冬の釧路湿原号再び
札幌からだと特急オホーツクで網走を経由したほうが早いのですが、もう一つの目的がありました。
釧路から標茶町を往復するSL冬の釧路湿原号にパラトルーパーと乗車するというものです。
特急おおぞらからSL輪行!
2月10日、06時48分発、おおぞら1号に自転車1台とサイドバッグ一つで乗り込みます。
特急おおぞらの荷物置き場は、縦がスーツケースくらいの大きさだったのでパラトルーパーはしっかりと収まってくれました。
SLの始発駅の釧路までは4時間ほどの旅です。道央方面は前日に雪が降ったらしく、薄っすらと木々が白くなっていました。
風景を楽しむ余裕があるのも、荷物置き場に安全に置ける折りたたみ自転車のメリットです。ファットバイクだったらデッキに立っていないとならなかったでしょう。
10時57分、定刻どおりに釧路駅に到着しました。11時5分発のSL冬の釧路湿原号にすぐに乗車します。
昨年3月にはブロンプトンで同じことをしていた
このSL冬の釧路湿原号は毎年1月下旬から3月下旬までの冬季に運行される臨時列車です。
昨年については最終日の3月20日に、同じようにブロンプトンを持ち込んで乗車を楽しんでいました。
当時は融雪が早く、追分駅から新夕張駅までを自走したり、初春の雪のない釧路湿原を楽しんだものでした。
毎年、満員のこの列車ですが、荷物置き場があることが分かっていたから実行できたことです。
満員の客車がゆっくりと雪景色を走る
SLなどの機関車が引っ張る客車列車のことを客レと言ったりしますが、私はこれに乗ることが好きです。
客車は動力を持たないので、走行中に聴こえてくる音はレールのジョイント音やブレーキ音のみです。
電車に比べると乗り心地は決して良いとは言えませんが、ゆっくりと車窓を楽しむ旅行には持ってこいなのです。
埼玉県から来た夫婦と歓談
ほとんどの指定席がボックス席なので、私も相席で座っていました。向かいに座った夫婦は団体旅行で申し込んださいたまから来られた人たちでした。
やはり流氷時期のオホーツクを目当てに来ているということで、ツアーだと屈斜路湖や北浜駅、ウトロ温泉など見どころを一気に回れるものに参加しているようでした。
オジロワシや北海道の動物の話、私の冬の自転車旅行の話などをするととても喜んでくださいました。
標茶から多和平展望台を目指す
標茶駅に到着して自転車を組み立てていると、観光協会の人が話しかけてきました。昨年も自転車で来てましたよねと覚えてくださっていたようです。
喫茶店で食事をしてから出発
このあとの予定は後続の普通列車に乗るだけですが、2時間半ほどの猶予があります。とりあえず、駅の観光案内にあった喫茶店へ向かうことにしました。
標茶駅から自転車で5分、釧路川を渡った市街地に喫茶ぽけっとはありました。昔ながらの軽食を提供する喫茶店という感じで、店内には鉄道写真が何枚も飾られていました。
頂いたのはSLザンギカレーで、SL冬の釧路湿原号運行期間中限定の提供になります。黒いザンギはイカスミで着色しているそうで、まるで石炭のようです。
360°パノラマが楽しめる多和平展望台を目指す
ご飯を食べながら、この後の予定を考えます。汽車の中でアナウンスの合った多和平展望台が木になったので目指すことに決めました。
時間は2時間半、距離は約40km
次の普通列車までは2時間半ありますが、展望台に登って隣の磯分内駅までは約40kmほどあります。時間的には厳しいですが、走ってみれば発見があるものなので出発します。
標茶駅に降りてすぐに感じていましたが、町内の道路は20インチ以下の折りたたみ自転車でも走れそうなくらい雪のない道路が広がっていました。
これは自転車の選択を誤ったかな、と思いながら林道を登り始めると路面状況が変化しました。
薄っすらとですが氷と雪が大半を残っている路面になったのです。こういう路面ではスパイクがあまり効かず、細いタイヤほど走りにくいのです。
もちろんパラトルーパーは問題なく走っていきました。
諦めて磯分内
1時間ほど走ったところで、多和平に向かうことは諦めて磯分内への最短ルートをたどりました。林が途切れるとそこには広大な牧草地が広がっていました。
何度か立ち止まって写真を撮りながら磯分内駅を目指して丘陵地帯を越えていきました。こういう道路状況だと、ギアレンジの広いマウンテンバイクは快適に走れるのだとわかりました。
列車出発の20分ほど前に磯分内の駅に到着しました。言うまでもなく無人駅で、落ち着いて輪行の準備をすることができました。
釧網線冬景色を楽しむ
混み合う1両編成普通列車
釧路から来た1両編成の普通列車は観光客でいっぱいでした。客室内は窮屈で、私は運転席脇のデッキでずっと立っていることになりました。
ずっと見ていても飽きない変化のある路線
結果としてはずっと進行方向前のデッキで立っていることになったので、前面展望を楽しむことができました。
標茶から先の釧網本線は山がちな区間が多く、カーブを繰り返し、トンネルを抜けながらオホーツク海を目指していきます。
途中に鹿がいたりと、まったく飽きること無く最後までデッキで立っていることができました。
意外と途中下車が多い
驚いたのは、途中下車が結構あったということです。斜里町や網走まで乗り通す人が大半だろうと予想していたのですが、実際は美留和や川湯温泉等でも降りる人がかなりいました。
美留和については後で宿の人に聞いたところ、小さな民泊のような宿泊所が多く、特に温泉付きのところが多いということでした。
止別駅で下車し宿に向かう
夕闇迫る中、斜里町に入りオホーツク海が見えると流氷が迫っている様子が見て取れました。流氷が見える鉄道路線は多分本当にここくらいでしょう。
知床斜里駅から数分で目的の止別駅に到着します。以前通過したときから何かのお店が入っていることは知っていましたが、まさかのラーメン店でした。
食べて帰りたかったけど、宿で食事が待っているから…再訪を願って、出発しました。
折りたたみ自転車を活用した1日目
列車を乗り継ぎながら、乗り継ぎ時間は自転車で散策して楽しむ。まさに折りたたみ自転車の醍醐味の旅を実行できた1日となりました。
翌日は、マウンテンバイクであることを存分に活かして…流氷の近くまで自転車で肉薄したことを、次の記事にします。
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