自転車で行く流氷観光〜2024オホーツクに見ゆ!2

折り畳み自転車

流氷の海岸を自転車で走りたい

直進、何キロよ!?

 2月11日の小清水町は雪が降る朝でした。宿の人によると昼過ぎには止むとのことなので、8時半頃に出発し斜里町の海岸を目指します。

 この旅の一番の目的「流氷で埋め尽くされた砂浜を自転車で走りたい」を叶えに行くのです。

意外と降りられる海岸は少ない

 オホーツク地方の海岸線は護岸のブロックが置かれていたり、農地や線路を守るための防風林が張り巡らされていたりと、意外と海辺まで降りられる地点は限られます。

 実際、斜里町中心地に至るまでに何回か海岸線に至る道を見ましたが、除雪されていない場所が多かったです。

砂丘公園付近は自転車が入れる状態でなかった

最初のトライは「砂丘公園」

 最初に流氷を近くで見たのは、斜里川左岸にある砂丘公園でした。google mapで見る限りなつは海岸線に降りる道があるようだったので接近してみましたが、道の入り口は地域の排雪場になっていました。

 しかし、雪山の横に踏み固められた道があったのでそちらを歩いて海岸に向かいました。

 砂浜に降りる手前の高台が一番流氷がよく見えました。

砂防ブロックが多かった

 ここの海岸は護岸ブロックが砂浜の奥に置かれており、流氷に近づくのが無理そうなので写真だけ撮影して後にしました。

海が凍っているのを見るだけで圧巻

 宿を出発して約25km、知床斜里駅に到着しました。知床半島の付け根に位置するこの駅は、街の中心でもあり、観光の拠点にもなっているようでした。

ミステリーADV「オホーツクに消ゆ」の聖地らしい

 駅の観光案内所は道の駅の方に主力を移したようですが、それでも玄関としての役割を今なお果たしている有人駅です。

タイヤの空気を入れなおす

 パラトルーパーは美瑛のときもそうだったのですが、時々よくわからないエア抜けが起きます。ワイドリムに適合するチューブが存在しないから工夫しているので、異常があっても自己責任です。

 空気が抜けても程よいくらいで止まるので今シーズンは放置している感じです。

ライ麦パンを食す!

 小腹が減ったので昨日標茶のぽえっとさんで購入していたライ麦パンを食してから、今日のメインイベントに向かいます。

休憩を終えて市街地を離れる

次に向かったのは「以久科原生花園」

有名なスポットなので既に沢山の車が来ていた

 斜里駅から約20分の以久科原生花園へ向かいます。ここは季節を問わず海岸に降りることのできるスポットとして知られています。

 駐車場が存在するので、私が到着したときには何台も駐車してあり、海岸に人が降りているようでした。

海岸を埋め尽くす流氷に近づける場所

氷の惑星に降り立ったかのよう

 踏み固められた道を自転車を押して進むと、流氷に埋め尽くされた海岸が広がっていました。想像していたとおり、雪はそれほど深くありません。砂も比較的締まっています。

 波打ち際は氷が積層して自転車で走りにくそうでしたが、砂に雪が積もった場所は走れると判断して私は走り出しました。

自転車での雪の砂浜ライド

 駐車場近くの海岸では観光客が写真を撮影したり、感動を声にしているので騒がしかったですが、100mも走ると聞こえなくなりました。

 雪は少しずつ弱まっていました。風もない静寂に自転車と私の呼吸音だけが聞こえます。

流氷の「声」を聴いた

 3km程漕ぐと河口が砂浜を横切っているので進むことができなくなりました。

 途中写真撮影の人がいましたが、ここには以前来た人の古い足跡と真新しいファットバイクのタイヤ痕と、私たちしかいませんでした。

 雪の北海道で何度も感じた静寂を体感し、新たに気づきます。波の音が全くしないのです。通常海沿いに存在するはずの潮騒は、海岸を埋め尽くした流氷のはるか先にあるのです。

 土の大地と氷の大地の境界で佇んでいると、その静寂の中に音がしました。

 ゴツ、ゴツと時折重くて固いものが擦れてぶつかるような音です。

 そう、流氷同士が波の影響で動いてぶつかっているのです。

 風向きによっては数時間で離岸したりするくらい動くのが流氷といいます。流氷はまるで生き物のように動くし、声を上げると知りました。

天に続く道を征く

 流氷の海岸を自転車で走るという目的は果たしましたが、まだ11時前です。流石に帰るには早すぎなので更に進むことにしました。

宿の人に紹介された「天に続く道」

 宿の人に前日に聞いていたスポットの「天に続く道」へと向かうことにしていました。以久科原生花園から更に10kmほど内陸に入ったところです。

天に続く道の起点へは…登りだ!

まあまあな傾斜の坂だった

 事前情報でなんとなく分かっていましたが、起伏のある直線道路の一番高いところから見下ろしたらキレイな場所ということです。

 斜度は北海道の中では中くらい、それが何度か下りを混ぜながらずっと続きました。MTBの変速域の広さを生かしながら登っていきます。

途中の展望台に登る

 坂の途中には私設の展望台が存在しました。私設なので駐車場も除雪もありませんでしたが、自転車装備の私には関係ありません。

 慎重に登って、見える風景は、すっかり晴れた青空に水墨画の大地と真っ白な海が伸びていくというものでした。

 遠くから見る流氷も良いものです。

ダウンヒルしながらみる流氷のオホーツクを見る

視点付近は人混みで良い写真が取れなかった

 道の斜里町側の始点に到着しましたが、中型のバスやレンタカーでごった返していたので、少し風景を楽しんだらすぐに北に降りることにしました。

 スキー場の近くにカフェがあるとのことでそれが目的地です。

 今まで登ってきた標高を一気に下げていきます。眼の前の直線の坂道の先には流氷の海が広がっていて、そこでもまた心動かされました。

小清水町までほぼ一直線に見通せる道路だ!

陶房cafeこひきやにて昼食

このお店の自転車のようである

 ダウンヒルからウナベツスキー場の脇を少し登って目的のこひきやさんに到着しました。窯元でもあるここはの雰囲気ある建物にアースカラーのパラトルーパーは非常に似合っていました。

自家焙煎コーヒー

 まず頂いたのはコーヒーです。私は普段はお茶を飲むことが多いのですが、どちらかというとコーヒーが得意なお店のようだったので頂いてみました。

 ポットもカップもここで焼かれたものなのでしょう。その重厚さと機能性も相まって美味しさにつながっているのだなと感じました。

岩津ねぎと釜揚げしらすのピザ(季節のピザ)

 メインは季節のピザということで岩津ねぎと釜揚げしらすのピザということでした。しらすは淡路のものと言うことでしたが、チーズとねぎの組み合わせが絶妙でした。

チーズケーキ

 デザートに頂いたのはチーズケーキです。おさらの模様が風のようで、まるで絵画のようでした。もちろん美味しかったですよ!

 さらに良いのは少し高台に位置するこのお店からは流氷に埋め尽くされたオホーツク海を展望できたことです。窓際に設置された餌付け台に野鳥たちが時折やってきてはついばんでいるのも相まって、とても良い雰囲気でした。

流氷のオホーツクと野鳥を見ながら食事ができる!

行け行け、オシンコシンの滝へ

 食事を終えてなおまだ時間がありそうで、さらに奥まで行くことにしました。目指すはオシンコシンの滝です。

奥に見えるは、網走・能取岬

ここまで25km、ここから20km

 宿からここまで既に25㎞走っていました。目的地のオシンコシンの滝までは更に20㎞ほどあります。

 ウトロ方面には斜里バスが2時間に一回ほど往復しており、お店の人曰く「観光バスタイプなのでたぶん自転車も載せられる」ということなので、帰りはそれに乗るのもありかと進んでみることにしました。

流氷で埋め尽くされた海を見ながら走る

 以久科原生花園付近までは海沿いの道路と言っても、防風林が生い茂っており海岸線沿いを走ることはできませんでした。しかし、日の出を過ぎたあたりから海岸の高台を走る道筋に変わります。ガードレールの下には流氷がびっしりと埋め尽くされ、見渡す限りの白い海を傍らに東に走ることができました。

鹿撃ちの車が多い

 道東では、国有林を守るために鹿の狩猟を許可しています。宿の人には聞いていましたが、ウインチをつけたピックアップトラックが大量に行き来しており、道端でシカを撃ってはそりで回収して、血抜きまで行っているようでした。

路傍の入れるところにとTOYOTAの4WDが入って作業している。

「反則だよ。こんなの」

 午前中に降っていた雪は完全に降りやみ、雲もほぼなくなっていました。いくつかの小さな坂を下って右カーブのそりたつ崖を抜けると、その景色が私たちを待っていました。

「反則だよ。こんなの」

 思わず声が出て、ブレーキをかけて自転車をとめました。

 青空に白銀の山がそびえたっています。その稜線が伸びる先は流氷ひしめくオホーツク海の水平線です。想像をはるか越える風景の中に、自転車と共に私はいました。

 冬の北海道は、命を引き立て、景色を引き立てるとはこの一年間を通じて感じていたことですが、その最たるものを道東・知床の付け根で感じた気がしました。

思わず声を上げて足を止める光景

オシンコシンの滝からバス輪行できず!

 風景に魅了されながらオシンコシンの滝へと到着しました。冬でも凍らない比較的大きな滝はなかなかに圧巻でした。

 到着するとほぼ同時に斜里町方面へのバスが出発してしまい、自走で帰るしかなくなってしまったのは残念ですが、タクシーも来るはずないここにとどまっていてもどうしようもないのです。

斜陽の帰路も美しい

 まだ2月なので日が沈むのが比較的早いです。15時を過ぎるとだんだんと赤い光に変わっていくのを感じます。

 斜陽の風景もまた美しく写真を撮りながら斜里町中心部へ帰っていきました。

凍結する変速機

 日中太陽が出ていたため、路面の凍結はほぼなく、むしろ道路上の雪は解けて水たまりを作っていました。一方で気温は氷点下で、雪のない快適な路面を時速20㎞程度で飛ばしているので、自転車そのものは結構冷やされています。

 何が起こるのかというと、巻き上げられた水が自転車に付着して凍り付くのです。

 まずは前の変速機が凍り付き、そして後ろの変速機も変速域が狭くなっていき、最後は2段ほどしか動かなくなっていました。途中、手で氷を落としましたが駄目です。

 よくあることではあるのですが、年越しの宗谷でも経験しなかったことが道東オホーツクで起こっているのは面白いことです。

凍ってしまえばTourneyもALIVIOも変わらない

日没とともに急速に下がる気温

 16時ごろ、いよいよ太陽が地平線に沈みました。これまで太陽の光を体に受けていたことで感じていた熱がなくなり、一気に気温が低下していくのを感じます。

 この時点で知床斜里駅まで12㎞、順調に走れば1時間とかからない距離です。しかし累積で70㎞近く走り、疲労がたまり、手先の寒さを感じ、変速機は不調であるという状況でした。

 冬の自転車ライドのこれまでの経験の中で一番危険なタイミングだったかもしれません。

美しい日没だが、同時に一気に危険域まで冷え込む

道の駅しゃりになんとかたどり着く

 しかし、街までの距離や概ねの道、どこまで行けば安全なのか、どこまで頑張ればよいのかがわかっているのは私の「案内人」としての経験値です。

 17時半ごろ、寒さに震えながら、斜里駅手前の道の駅へ辿り着きました。非常食のグミと水分補給を温かい屋内で行って体力を回復させます。

 文明の明かり、文明の温かさ。極限状態であれば、普段当たり前にある安心と安全に感動できるのです。

カバンの中に入れておいたカイロで暖を取った

タクシー輪行でゲストハウスへ

 知床斜里駅から網走方面の汽車が次に来るのは20時頃でした。宿では19時ごろに夕食を予約していたので、何としてでも帰らなければなりません。

 そこで、タクシーを使うことにしました。電話をして折りたたんでいると、プリウスタイプのタクシーがやってきました。

「止別のはなことりさんなんて知らんぞ!」「19時には次のお客がいるんで」といろいろと言われながらもパラトルーパーは荷物室に無事に収まりました。やはり折り畳み自転車は最強なのでした。

 案内して無事に宿まで帰りつき、本日の旅程を終えました。

来年は夕日を見てからバス輪行で帰ろう!

 今日の旅程の悪い点は、二つあります。

 ひとつは出発時刻が遅めだったことでした。始発に間に合わせるくらいで止別駅から知床斜里駅を輪行していれば余裕をもってオシンコシンの滝まで向かえていたでしょう。

 朝食と夕食が宿というのも善し悪しでした(ご飯はものすごくおいしいのですが!)。夕食を意識しなくてよいのであれば、逆に滝から道の駅ウトロまでさらに10㎞程進み、夕陽を見てからバスで帰ってくるというのが良いかもしれないと感じました。

 とはいえ、自転車で道東の流氷をこれほど堪能できたのは、これまで積み重ねてきた冬の自転車走行の経験と、折り畳みMTBという変わり種な自転車を最大限に活用したからこそできたものと実感しています。

 この経験を来年以降も生かして…冬の北海道を案内できるようになりたいですね。

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