埋もれた基地〜週末小金湯19

折り畳み自転車

 1月の上旬から約3週間、その間に札幌では約1年分の雪が降りました。

 間違いなく雪下ろしに行かなければなりません。

 3週間も空いてしまったのは、途中で美瑛スノーサイクルフェスタに参加したりと他に予定があり、この週末も予定の合間を縫って土曜日の午後に出発しました。

パラトルーパーで小金湯へ

16時ごろの石山通は既に帰宅の渋滞が始まっていた

 セミファット相当に改造されたパラトルーパーで一度小金湯まで走ってみるべきだと考え、16時前に中央区の社宅を出発をしました。

 雪で道幅の狭まった石山通は渋滞が始まっており、こういう場面では自転車のほうがストレスレスに移動することができます。

圧雪と轍の作り出す過酷なトレイル

大規模な雪壁の崩壊は至るところで見られた

 ただし、歩道も路面状況はよくはありません。大きな降雪から数日が経過し、気温が高い日が続いているので、除雪車によって積み上げられた雪の壁が崩壊している場所が多々ありました。

 歩道に差し込まれる側道には深く轍が刻まれていて、26インチのタイヤでも何度か飲み込まれそうになりながら走っていきます。

 私はまだトレイル(稜線)や登山道の走行経験はありませんが、そういった環境に近いものを感じました。

セミファットの限界を感じる

 藤野市街から小金湯までは大きな坂が2つあり、更に沿線人口が減るので歩道の雪が踏み固められていません。車輪付きの乗り物は走りにくい路面になります。

 車道を走っても問題はないのですが、雪で狭まってますし、どちらにせよ登りは辛いので自転車を押す場面は増えました。

 結局4時間弱かかった20時前に、小金湯基地の入り口にたどり着きました。

4時間弱書けて到着して見たのは、想像の数倍の雪だった

 改良されたパラトルーパーは、明らかに普通の2インチ幅のマウンテンバイクより、雪道や氷雪面をずっと走れるようになっています。

 小金湯くらいの自転車が走れるか走れないかの極みのような環境に置いては、ファットバイクのほうが走れると感じました。

 ちなみに下りの帰路は3時間かかりました。

人生最大の雪下ろし経験

到着時に見た光景

3週間で1m超の積雪

明朝の雪下ろし前の様子

「二日間で1年分が降った」

と札幌に長く住む人が言ったのは1月7日と8日の降雪をさしてのことです。そして、その2週間後くらいにも少なくない量が降りました。

モバイルトイレも埋まってしまっている

 その後気温が高く晴れが続いたので、中央区でも結構融雪が起きていました。つまり、雪は更に水気を帯びて重くなっているということです。

 小金湯は正月に除雪しなかったところは胸くらいの高さまで、それ以外のところでも1m超の積雪がありました。

翌朝のウッドデッキ上の積雪

 トイレも屋外に置いた灯油缶も雪の下で、両方共すぐに必要になったので、夜闇の中掘り返しました。

雪庇が50cm程垂れ下がっている

 翌朝、7時過ぎから屋根の雪下ろしに取り掛かりました。しかし屋根の上に上るためには、ウッドデッキに積もった雪をまず除雪してからでないと脚立に登れません。

 脚立を一度立ててからも、屋根の上からはみ出した雪庇が大きくはみ出していたのでそれを落としてからやっと屋根の上に登れます。

腰まで積もった雪の量に興奮して自撮りをしてしまう

 屋根の上も1m超の積雪がありました。下の方は締まっていて、故郷上越高田の雪を思い出す重さでした。

 雪下ろしをしていると、ハウスの窓が埋まりそうになっていたので、落とす場所を考えながら作業しました。

 このユニットハウスは木組みの足場の上に設置されていますが、完全に足場は雪に沈みました。パーマカルチャー研究所の三栗さんは、「自然の断熱材」と称して現在でもご自宅で実践されていますが、まさかかさ上げした小金湯基地でも実践できるとは思っていませんでした。

 結局4時間かかって屋根の上の雪を下ろすことができました。まだまだ冬も半ばなので降りますからこれで一安心です。

スノーシューを初めて使う

実家で数回使ったスノーシューを頂いてきたのだった

 昨年帰省した際に実家から回収してきたのがこのスノーシューです。当時は小金湯に入植(?)するとは考えておらず、レジャー目的で持ってきていました。

 ここまで積雪してしまうと、必須の道具になりました。

明らかに沈み込みが小さくなっている。通路を踏み固めるのにも有効だ。

 雪の上を安定に移動するためには接地面積を増やさなければなりません。このあたりはファットバイクの考え方も近いですね。

 明らかにブーツだけで歩いているときより沈まないで進むことができました。

 ただ、歩くためのスノーシューのため、雪堀等の作業はチョットしにくいと感じました。

雪下ろし完了!

トイレを掘れ!

地上設置だったので、雪に完全に埋もれてしまっていた。

 モバイルトイレは地上にブロックを積んでその上に置いているだけなので、積雪の影響をもろに受けてしまいました。便意尿意は絶対に生じるので、到着した日に何とか掘りました。

 翌朝になって気づいたのですが、周囲の林の枝が何本も折れています。

 除雪中にも雪の中に枝が混ざっていて、この3週間の急激な変化を感じさせます。

住めばすべて解決?

自動車の掘り返しまでたどり着かないまま帰路についた

 正直、ここまで積もってしまうのは想定外でした。雪下ろしの見積もりは倍の時間を要しました。

 ただ、現状20㎞程離れた市内に住んでおり、毎日住んでいないからこの現状が発生しているのも事実です。毎日歩いて、少しずつ除雪して、踏み固めていけばここまでの状況にはなりません。私の生きる場所に道ができるのです。

 北海道の開拓の歴史を見ても「この場所が人生で一番きれいだったから住むことにした(意訳)」という理由で定住を決めた先人たちも少なくありません。

 私もまた北海道で生きていくことを決めました。特に冬が好きです。

 晴れる日はほどんとありませんが、時折の晴れ間の美しさは比べ物になりません。

 雪で大地が覆われて、すべてが死に絶えたように感じられる風景の中に、動物たちのうごめきを感じられます。

 その中に私自身が自転車とその身一つで存在すること。人間もまたこの大地の上の小さな破片一つであるということをひしと感じられるからです。

小金湯基地の目の前まで除雪は来てくれるから、自転車でも生活はできると実感している。

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