これまで、BRM薄野200について、BBC北海道について記事にしてきましたが、今回については参加してみた私自身の感想を書いていこうと思います。
写真が少ないのは申し訳ないです。初めてのブルべで一所懸命に走ったので撮影する余力はあまりなかったのでした。
CP1へ急ぐ〜自身の限界を越えていけ!
10月6日の試走ではCP1に到着しなかった
本番2日前の2023年10月6日に、銭函海岸までのコースの試走を行っていました。
薄野200は前半に7割の獲得標高(どれだけ登るかの指標)がある上、CP1のクローズ時間(到達制限時間)は12時前と、一番厳しい区間が最初にあるということは事前情報で知っていたからです。
結果から書くと、試走ではCP1のクローズ時間には間に合わせることができませんでした。
職場に電話しなければならなかったことや、休憩が多かったりといくつかの要素がありましたが、単純におそすぎたという実感があったからです。
そのため10月8日の当日は、緊張を感じながらも平均速度を上げながら(概ね平均18km/h)で走っていきました。
初秋の定山渓に魅せられる
札幌の市街を抜け、国道230号に入ると我が拠点のある小金湯です。そこから少し走ると白糸トンネルに差し掛かります。
トンネルを抜けると、そこは湯けむりたなびく温泉地、定山渓です。試走のときは大雨でしたので風景を楽しむ余裕はありませんでした。
時間はまだ8時を過ぎたくらいの時間で、昇り始めた太陽が、少し色づき始めた山を照らしていました。
定山渓ダムと朝里峠を越えていく
定山渓の通過チェックポイントで補給をしたあとは、山岳区間です。
以前にファットバイクで登ったことのある道で、結構大変だった記憶があったのですが、想像より軽く進むことができました。
自転車が軽量なこともあり、自身が成長したこともあるのでしょう。
定山渓ダムの上とダム湖に沿って快速に走ったら勾配が増します。
立ちこぎを取り入れながら長く続く坂道をゆっくりと登っていきます。国際スキー場の手前で少し押して歩き休憩しましたが、それ以外は止まること無く朝里峠の頂上へと進んでいきました。
この時点で30分以上試走より早く、第一関門を突破できるのではないかと感じていました。
朝里ダムの放水
朝里峠を越えると、そこから先は10km以上の長さのくだりが待っています。
自転車のメーターは時速40kmを越えますが、ブロンプトンは安定して下っていきます。
ダム湖であるオタルナイ湖畔に差し掛かると少し平坦を走ったら朝里ダムを越えていきます。
ダムの下側に設けられたループ線に入ったとき、丁度放水を行っていることに気づきました。前日までの激しい雨でしたから、当日のような日取りでないと見れなかったと思います。
パンクせず走っていくブロンプトン!
朝里の市街地まで下りきると、銭函の方面に向けて多少のアップダウンを越えていきます。
このエリアで、10台前後のブルべ参加者と思われる人たちがパンクして修理していたのが印象的でした。
私のブロンプトンはパンク知らずで、気持ちよく走り続けていました。
ダウンヒルというのは非常に自転車に負荷がかかるらしく、過去にK3では何度もパンクしたりしていましたが、結局薄野200を通じて何事もなく走り切りました。さすが、折りたためるママチャリ、ブロンプトンです。
CP1を超えていく
CP1であるセイコーマート銭函店には30分以上の余裕をもって到着しました。
先行していた有森さんのブロンプトングループと歓談し、補給を終えると、未知の道を進んでいきました。
自身の限界を超える瞬間です。行程的には1/3程度であり、下見もしたことのない初めての道を進んでいくので不安もありました。
しかしそれ以上に、自転車ひとつに体一つでどこまで行けるか試したくなっていました。
変化に飛んだ札幌郊外を楽しむ
石狩平野を北に、オロロンラインへ
銭函から石狩新港の工業団地方面はこれまでのアップダウンが嘘のように広がる平野を走ります。
石狩川を渡ると、いよいよオロロンラインの始まりです。日本海側に沿って稚内まで伸びる国道231号、国道232号、県道106号を総称し、風景がきれいであったり、地元の海産物を楽しめる道路として有名です。
薄野200では厚田の市街までオロロンラインを走ります。
異国のような丘陵海岸線を走る〜初めての石狩市厚田区
オロロンラインは海沿いの低い場所を走るだけでなく、切り立った海岸線の場合はその高台上を走ることになります。
大西洋沿岸のヨーロッパのような雰囲気のある場所です。アップダウンを繰り返しながら、CP2である厚田中心地へ向かいます。
本州と異なる低山を抜ける〜白樺のある風景
CP2からCP3への道は、当別へと抜ける低山地域でした。大きな坂は最後になります。
本州のような里山風景が続きますが、違うのは植生でしょうか。本州だと1500m級の山地でないと生えていない白樺が多く目立ちます。
最後に長い坂を下ると月形です。経路を誤り、初めて自転車で北海道を旅行したときに立ち寄った、石狩月形駅に辿り着きました。
当時は1日に80kmくらいでへばってたなあと思い返して懐かしく感じでいました。
新篠津村のあたりは初めて走る道で、何度か道を間違えたことから、他の参加者の人の後ろをついていくことにしました。
二人の参加者の後ろを少し離れてついていきましたが、ゆったりと流しながら自動車の少ない道路では会話をしながら乗っていたのが印象的でした。仲間がいるっていいなあ。
田園風景から大都会へ〜夜のすすきのを駆ける
かくして、無事にCP3に到着しました。ここでは1時間ほど他の参加者を待つことになりました。
栄養補給を行いましたが、軽いハンガーノックのような状態になっていたように思います。体温が上がらずに、震えが止まらないのです。
DNFしたときに使おうと思っていた予備の服をすべて着込み、出発の頃になるとやっと暖かくなってきました。
13名がすべて揃い、時間は17時半を回ります。日は沈み、夜の始まりです。
ヘッドライト、テールライト、纏った反射材が真っ暗な夜道でお互いを照らしながらだんだんと札幌の中心地に近づいていきました。豊平川のサイクリングロードに入ると大都会はもうすぐそこです。
1時間ほど前まで、真っ暗な田んぼの中の道を走っていたとは思えない風景の変化がそこにはありました。
土手を越えるとそこは札幌一の歓楽街、すすきのです。ブロンプトンが列をなして突入すると周囲の視線が集まるのを感じました。
最終CPのコンビニの前には数台のブロンプトンと数名のお迎えがありました。13台のブロンプトンに声をかけていました。
コンビニで買い物をして(レシートをもらわないと失格になってしまいます!)、記念撮影をしました。その後、レシートとブルべカードを提出しに行き、参加者の方と少し歓談した後、別れました。
非常に疲労していましたが、満ち足りた気持ちで帰路につきました。
ブルベは楽しい
「こちら側の世界」
大通公園に集合した参加者たちは全員ブリーフィングに参加することになるのですが、今回初めてブルベを走る人たちは私を含め10人余りいました。
「ようこそ。こちら側の世界へ」
主催の方がそのときに語った言葉は、短くも的を射たものでした。走りきったあとになるとよくわかります。
200kmという長距離を、自転車一つ、その身一つで走り切るというのは、普通の行為ではないのです。
しかしその超越した行為を楽しめる人たちが「私たち」だったのです。
私はもっと走れる、走りたい
私はその日、限界を超えたのです。
経験のない距離を、地図でしか認識していない初めての道を走り切りました。
満足は確かにありましたが、それ以上に存在した感情は「もっと自分を試してみたい」という気持ちでした。
私はランドヌールになった
ランドヌール=旅行者
ブルべに参加する人のことを「ランドヌール(仏Randonneur)」と言います。意味合いとしては旅行者という意味になるそうです。自転車の種類の中にもランドナーというものがありますが、その語源にもこれです。
これまでも自転車を使って様々な旅行をしてきましたが、いよいよブルべに参加するようになり真の意味でのランドヌールへの道を歩み始めた気がしています。
次のステージは「年越し宗谷」、来年のブルベ!
来年はもっと長距離のブルべにも挑戦したいと今は考えています。
尤もその前にこの年末には自転車で宗谷を目指し、一泊して帰ってくるという「年越し宗谷」の計画があります。
薄野200から1週間後、その下見を兼ねて私は旭川行の特急に乗るのでした。
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